家族の誰からも愛されないと言う孤独感を埋めるため、雪音は男に走った。

どんなに――それこそ、命を奪われるようなひどい目にあっても雪音は愛されることを切望していた。

自分だけを見て欲しい。

自分だけを愛して欲しい。

「九重?」

雪音が不思議そうに僕の名前を呼んだ。

「何で泣いてるの?」

そう呟くように聞いてきた雪音に、僕は自分の頬に手を当てた。

僕は自分が涙を流していたことに気づいた。

「――ねえ、雪音…」

僕は呟くように、雪音の名前を呼んだ。

「――君は、俺のことをどう思っているの?

できれば、正直に答えて欲しいんだ」