「幸せな家庭?」

初めて聞いた言葉のように聞き返した雪音に、
「うん、幸せな家庭。

子供は、男の子でも女の子でもどっちでもいい。

たとえ障害や病気があったとしても、元気に生まれてくるならばそれでいいと思ってる」

僕は答えた。

「いいね、当たり前って感じで」

そう呟いた雪音に、僕は泣きながら話してくれた彼女の話を思い出した。

――だって、家には私の居場所はないんだもん…

たった1人の肉親だった父親が再婚して、弟ができて…両親が彼をかわいがったため、雪音は居場所がないと言う孤独感にさいなまれた。