コクリとサイダーを飲んで喉を潤すと、僕は息を吐いた。

「九重の歌、すごくよかったよ。

本当に歌手を目指したら?」

そう声をかけてきた雪音に、
「それ、中学の時の音楽の先生にも言われたよ。

でも俺は歌手になるよりも、実家を継ぐことが大切だから」

僕は言い返した。

「えーっ、もったいないなあ。

家業なんて、2人の妹のどちらかに任せればいいじゃないの」

そう言った雪音に、
「俺は実家を継いで、結婚して、幸せな家庭を築くことが夢なんだ」

僕は言った。