「それで、今年も歌うの?

そのカラオケ大会に出るの?」

雪音が顔を近づけて、芸能レポーターよろしくと言うように問いつめてきた。

「いや、まだ決まった訳じゃ…」

そんなに顔を近づけるなよ。

君とキスしたことを思い出しそうになってしまうじゃないか。

「私、聞きたい!

九重の歌、聞きたい!」

「いや、聞かせられる程に上手じゃないよ…」

「でも2連覇もしているんでしょ?」

それはそうでありますけれども。

「ねえ、お願い!

聞きたい!

必ず応援に行くから」

雪音はあわせた両手を突き出すと、僕に言ってきた。