「九重、今年もカラオケ大会に出るの?」

やっぱり、きたか…。

「カラオケ大会?」

母の話に雪音が珍しそうに聞き返した。

「毎年この時期にやってる大会なの」

そう説明した母に、
「へえ、そうなんですか」

雪音は納得したと言うように返事をした。

「すごいことに、九重は去年おととしと優勝を飾っているのよ。

2連覇もしているの」

母は得意そうに言うと、ピースした指を雪音に見せた。

「えっ、そうなんですか?

九重、すごーい!」

「アハハ…」

雪音はパチパチと拍手をして褒めてきた。

褒められて悪い気はしない。