「こうしてあなたたちを見ていると、若夫婦って言う感じがするわ」

母がそう言った瞬間、僕の頭の中にあの日の出来事がよみがえった。

雪音とキスをしたあの出来事である。

「わ、若夫婦って何を言ってるんだよ…」

僕は母にそう言い返した後、何か言ってくれと思いながら雪音に視線を向けた。

雪音は麦茶に口をつけていた。

母の言葉に否定をしていない…かと言って、肯定もしていないと言う様子だった。

この間のキスと言い、否定も肯定もしない反応と言い、雪音は一体何を考えているのだろう?

「あ、そうそう。

九重、さっき校長先生が店にきたんだけど…」

母が思い出したと言うように僕に話しかけてきた。

校長先生がきたと言うことは、あの話だな。