妙な期待を背負わされてしまった。

「こうなったら今年も参加しないとダメかな…」

そう呟きながら家に帰ってきた。

「ただいまー」

ドアを開けたら、チリリンとそこに備えつけられている鈴が鳴った。

「お帰りなさい、九重」

聞き覚えのある声と目の前にいる人物に、僕は驚いた。

「ゆ、雪音…」

雪音が店番をしていたのだ。

「えっ、何で?」

戸惑っている僕に、
「雪音さんが手伝いたいって言ったのよ」

お盆のうえに麦茶を乗せた母が現れた。

「て、手伝い?」

そう聞き返した僕に、
「この間、治療してくれたお礼」

雪音が答えた。