「こっちも、ごめん…」

呟くように謝った僕に、
「謝らなくていいよ…。

私も私だったから…」

雪音は呟くように言い返した。

何とも言えない沈黙が、僕と雪音を包んだ。

その沈黙を破ったのは、
「九重」

雪音の方からだった。

三白眼の瞳が僕を見つめる。

その瞳に引き寄せられるように、僕は雪音に顔を近づけた。

彼女との距離は、少しずつ縮まって行く。

雪音が目を閉じたその瞬間、
「――ッ…」

僕と雪音の唇が重なった。