「ヒトハとミハルって…?」

母の姿が見えなくなると、平雪音が呟くように聞いてきた。

「妹だよ。

一葉が高校1年生で三春は小学3年生なんだ」

僕は彼女の質問に答えた。

「へえ、九重って3人兄妹のお兄さんなんだ」

そう言った後、彼女はハッと我に返ったと言う顔をした。

「ごめん、つい“九重”って名前で…」

申し訳なさそうに謝った彼女に、
「いいよ、九重で」

僕は言った。

「私のことは“雪音”でいいから…」

呟くようにそう言った彼女に、
「じゃあ、君のことをそう呼ばせてもらうよ」

僕は言った。