そんなにもヤな女なのかよ…。

人は見かけによらないとはまさにこう言うんだなと僕は思った。

僕は横山から手元の定期入れに視線を落とした。

警察か学務課にでも届ければいいのに、彼女はわざわざ僕を探して届けにきてくれたのだ。

もしかしたら、たまたま僕が彼女の目の前にいたからかも知れないけど。

「まあ、とにかく…」

横山はベンチから腰をあげると、僕の前に立った。

ビシッと僕に人差し指を突き立てると、
「雪女こと平雪音には絶対に関わらないことですよ」

宣言するように言った。

「ゆ、雪女…?」

呟くように聞き返した僕に、
「平雪音のあだ名ですよ。

あの身長の高さと外見と名前から“雪女”って呼ばれているんです」

横山が言った。