「はっ、何でだよ?」

その言葉の意味がよくわからなくて俺は聞き返した。

何で平雪音に関わっちゃいけないんだよ。

見た感じはキレイ系だけど、落とした定期入れをわざわざ届けにきてくれたから悪い子ではないと思う。

横山はわかっていないと言うように息を吐くと、
「彼女ね、とんでもない男喰いなんですよ」
と、言った。

「お、男喰い?」

何だそれは。

「男をつかまえて、弄んで、それで飽きたら自分から捨てる…だから男喰いなんですよ」

横山が言った。

そう言えば…と、僕は昨日の修羅場を思い出した。

「母親が総合両院の院長だか何だか知らないけど、ホントにヤな女っすよ」

横山はケッと毒づいた。