「九重さん、知り合いですか?」

彼女の後ろ姿を見送った横山が僕に聞いてきた。

「いや、知らないけど。

それよりも助かったー。

危うく警察行きになるところだったー」

僕は定期入れを片手に、ホッと胸をなで下ろしていた。

「九重さん、俺の1年先輩だって言うのに彼女のことを知らないって言うのはどう言うことなんですか?」

横山が驚いた様子で聞いてきた。

「それは、どう言うことなんだ?」

と言うか、それ以前に何の話をしているんだ?

こっちとしては定期入れが見つかったからめでたしめでたし…な話なんだが。

そう思っていたら、
「九重さん、時間いいですか?」

横山が言った。