8月20日――その日、レコード店『アウト・ブルース』に3人の客がやってきた。

「たのもー」

そう言ってレトロなデザインのドアを開けたのは上野祐介である。

「道場破りじゃないんですから…」

呆れたように言ったのは雨宮希望だ。

そんな2人を安部文人がクスクスと笑っていた。

「九重、いるんだろ?」

名前を呼んだ安部に、店主の小暮九重(コグレコノエ)が顔を出した。

「ああ、いらっしゃい」

3人の顔を見た九重が言った。

「いやー、暑くて仕方がねーよ」

上野はやれやれと言うように息を吐いた。

「あれ?」

希望が何かに気づいた。