「ただ今、戻りましたー」

秘書課へ戻る前に、パウンドケーキを渡すために社長室へと顔を出した。

「おう、お疲れ」

竜馬はそれまで見ていた書類をデスクのうえに置いた。

「社長、コールセンターの方たちから差し入れです。

パウンドケーキだそうです」

私はデスクに歩み寄ると、パウンドケーキが入った紙袋を差し出した。

「パウンドケーキか、後でゆっくりと食べることにするか」

竜馬は私の手から紙袋を受け取った。

「和風のパウンドケーキだそうですよ。

先ほど私もいただいたんですけれども、とても美味しかったです」

そう言った私に、
「えっ?」

竜馬は訳がわからないと言う顔で聞き返してきた。