ギシッと隣から音がしたところを見ると、注文の電話が終わったらしい。

「もうそろそろ機嫌を直してよ」

竜馬がそう言って、私にもたれかかってきた。

「嫌です」

そう言い返した私に、
「そりゃ、突然キスして悪かったなとは思ってるけどさ…」

竜馬の両手が後ろから伸びてきたかと思ったら、クイッと頭ごと彼の方へと向かされた。

「――なっ、わっ…!?」

端正な顔立ちの竜馬の顔はすぐ目の前で、私の手からまた小説が滑り落ちそうになった。

「好きな子と家に2人きりでいたら我慢できる訳ないだろ?」

そう言った竜馬の顔がまた近づいてきて、
「――ッ…」

何度目かの唇が重なった。