「ねえ、桃子ちゃん」

「ご飯なら出前でも取ってください」

視線は小説に向けたまま、私は答えた。

「何にも言ってないのに何でわかったの…」

竜馬は落ち込んだ様子で呟くと、その場から立ち去った。

言われなくてもわかってるわよ。

私はあなたの秘書である以前に、何年妹をやってると思ってるのよ。

「桃子ちゃん、ピザとそばと寿司があるんだけど…」

「社長はピザが食べたいんですよね?

それも、マルゲリータのピザ」

「何でわかるんだよ、腹が減ったから頼むけど。

と言うか、もう機嫌を直してよ…」

直るか、バーカ。

心の中で呟いて竜馬に視線を向けると、彼はスマートフォンを耳に当てて電話をしているところだった。