「いたっ」



頭上に突然受けた衝撃。



反射的に顔を上げると、苦い顔をして丸めた教科書を握る教師。



状況処理が間に合わない。



奇妙な空気感。



彼は私と目があったのを確認した上で、横を素通りする。



その動線を目で追いながら、いつの間にか自分が眠っていたことに気づく。



ため息をついて眼鏡を外す。





窓が気温差で白く濁る。



隅に指で描くニコちゃんマーク。



水滴が落ちる前に塗りつぶす。



泣き顔なんて見たくない。