斎藤は、死にたかった。

手痛い悲しみを、経験したからだ。

もはや、神に委ねるしか、この苦しみを清浄化するすべを、彼は知らなかった。

斎藤は、苦しんだ。

自分が悪人であることを知った。

チャラい人間であることも、知った。

意思の弱い、動物的な気持ちに押し流されて、悪に屈する、不幸な人間であることを知った。

到底、本当の意味で、人を幸せにするなどということは、不可能だった。