店長「それはさ、ここでの接客をどういうものにしたいと願うかによるよね。だから、踏み込む必要があると言えばあるし、ないと言えばない」

店員「ないに一票投じさせて貰っていいですか?」

店長「あるんだよ」

店員「はい?」

店長「店としては、ある方針で行きたいと思う」

店員「店の方針ですか」

店長「そうだ」

店員「店長の個人的な方針なんじゃないんですか」

店長「私の方針ということは、店の方針ということだよ」

店員「だけど、ここチェーン店ですよね?」

店長「この店の一切は私に委ねられているんだよ」

店員「分かりました。お続け下さい」

店長「うむ。…でも、今の髪型もいいかも知れないですね」

店員「どっちなんですか」

店長「フォローだよ」

店員「結局、私が言ったこと気にされてるじゃないですか」

店長「そんなことはない。元々のマニュアルだ」

店員「マニュアルなんですかこれ」

店長「髪型を変えられたお客様に対するマニュアル」

店員「完全にイジり過ぎですよ。逆に失礼にあたる」

店長「そういうことはさ、失礼にあたってさ、お客からクレームついてから言いなさいよ」

店員「それじゃ遅いんじゃないですか」

店長「それじゃ遅いかもしれないけど…。何事も始めるのに遅すぎるってことはないんだよ」

店員「それ今使う言葉じゃないですよ」