愛してるなんて言わないで




「私は恋愛を望んでないから…。

私の幸せは

颯太がいつも笑ってるってこと。


何よりも颯太が優先で…

それ以上に大切にできることはない。

だから…

社長はちゃんと、恋から始められる恋をしたほうがいい。」


「本当にそう…思ってる?」



強く頷いた。


それは

もう、変わる事のない願いとして自分の中で息づいている思いだから。




「確かに俺は…恋をしたいけれど、その相手は結花さんがいいと思ってる」


「それはきっと…社長の錯覚だよ。

社長は優しいから。

可哀想な私に対して芽生えた同情心を、恋と勘違いしてるだけだ」



「俺の気持ちを、決めつけたように話すんだね?」


傷ついたような微笑みを浮かべた社長は
「分かった」と、言って部屋を出て行った。



リビングから、2人がお別れする言葉が聞こえると

ゆっくり開いた扉から、颯太が顔をだす。


「おじちゃんと、喧嘩したの?」

「えっ?」

「おじちゃん、泣きそうな顔してた…」