できるだけ早く帰ると颯太に約束をしたんだ。
今日、できることを少しでも早くに終わらせなければいけない…。
慌てて資料に視線を戻すと
主任の席の内線が突然、鳴りだした。
「俺がでるから、結花さんは仕事に集中してていいよ。
この時間の内線だ。警備からに違いない。」
「ありがとうございます。」
頭を下げる余裕もなく、パソコン画面と資料を交互に見ていると
「結花さんに電話だって…」と少し不機嫌そうな社長…。
時間を過ぎての電話なら…颯太だろうか。
「すいません。相手は颯太かな…?」
聞いた私に「違うみたい。赤坂玲二さんだって。男じゃない?」
なんとまあ、赤ら様に不機嫌なのは、電話の相手が自分の知らない男だったから…?
って…。
「えっ?誰?」
聞き返した私に
聞き返すなよと言わんばかりの不貞腐れ顔。
「だから、赤坂玲二さんだって。知らないなら警備のほうから、電話の引継ぎ断らせるけど?」