「結花さん、頑張りなよ!」
「はいっ!ありがとうございますっ!」
「子供ちゃん、誰かに見てもらってるの?」
「実家にお願いしてあります。」
普段、颯太の体調不良で、厳しい事を言う先輩方も、私の初めての残業には優しい言葉をかけて帰って行く。
悪い人ばかりでないことはわかってる。
分かってる。
だからこそ…
今回は頑張りたい。
たくさんの資料を読みながら
自分の想像する企画にあてはめていく。
誰もいないオフィスで1人…。
と、言いたいところだけれど、余裕な顔をして主任のディスクに座り、パソコンをいじってる部外者的な、関係者が…
なぜか居る。
「社長…なんであなたがここにいるんですか?」
「今日は半日出張で、本社に帰るよりこっちのほうが近いから。」
ここから本社までは車で30分くらいなんですけどね…。
「主任も自分の席に社長が座ってるのを知ってたら驚きますよ。」
「うん。さっき、彼が帰る間際に机貸してって頼んだら驚いてた。」
「主任の気持ちが…なんとなく分かります。」
って…
のんびり話しなんかしてる場合ではない。