愛してるなんて言わないで





初めて動物園で会ったあの日から

俺たちは家族になれたんだ。


本当の家族は「ごっこ遊び」のように上手くはいかないかもしれない。

だけど…

何もかも

君も颯太も全部まるごと


俺の大切な宝物だよ…?

家族ごっこで終わらせないでくれないか?

俺を本当の君の家族の一人にしてよ。」


「私を選んで後悔しない…?」

滲む視界に

浮かぶ翔太さんは

優しい眼差しをくれる。



「後悔なら、君と出会った瞬間に味わった。」

「どういう…こと?」


「どうしてもっと早く君を見つけられなかったんだろう?って。

でも

もうそれも後悔じゃない。

君の過去に、とても大切な人がいても 構わない。


君の初めてが俺じゃなくても構わない。


全部まるごと君を愛してる。


だから…

そろそろ答えてよ。


俺と結婚してくれるの?」



翔太さんが立ち上がり


私の手をきゅっと握りしめる。



「翔太さん…。

今まで隠してたけど。


私…翔太さんのことが…。



初めて出会ったあの日から


ずっと貴方が好きだった。

でも

沢山考えてたの。

私は颯太の、親だから…とか

私じゃ翔太さんを幸せにできないとか。」


「俺を幸せにするかどうかなんて君の決める事じゃない。

それに

君の下手くそな隠し事は

最初から俺にバレバレなんだよ。


だからもう観念して


ちゃんと伝えて?」

意地悪な笑顔。


その胸に抱きついた。




「…愛してる」


「よくできました。」





温かな温もりに抱きしめられたその向こうが


平坦な道ばかりじゃないことは分かってる。


分かっていても…


側にいたい。


「翔太さんを…愛してる」