愛してるなんて言わないで



「翔太さんの…お父様に招待させていただきました…」


俯く私に…


「ごめん。」と呟いて去っていく



そのごめん。は…


きっと…


他の女性を選ぶと決めたごめん…。なんだね?



大丈夫…。

分かってる。





「では花嫁を選んで下さい」


司会者の言葉に

会場全体が緊張に包まれる。




次に彼が口を開いたその時

泣かないでいたい…。


きゅっと両手を握りしめて前を見据えた。


逃げない…。


翔太さんの幸せを…


見届けたいから…。




とくんっ…

とくんっ…と鼓動が跳ねる音が


まるで耳元で聞こえているよう。



彼は

私とは反対の端に立っている女性の前にゆっくり歩み寄る…


これで

私…

ちゃんと諦められる。



失恋。


それが恋を止めるための1番の近道かもしれない…。