「お兄ちゃんが他の人と結婚してもいいの…?」
「嫌だけど仕方ないよ…」
旅館で話し合いをした日
翔太さんは
私の気持ちに整理がつくまで待つと言ってくれたけれど…
これが翔太さんのだした結果だったんだ…。
バツイチ女とのメリットのない結婚なんかしないほうがいい…
翔太さんも目が覚めたんだ。
これで…
良かったのかもしれない。
これで良かったんだと…
思いたい。
颯太に
たくさんの初めてをくれた翔太さん。
こんな私を愛してると言ってくれたのに…
私にはそれを背負う覚悟が持てなかった…。
バツイチ女に
短い夢を見させてくれた…。
「ありがとう…。なのかな?」
「私…翔太さんの選ぶ女性がどんな人なのか
ちゃんと受け止めるよ。」
「本当あんたはいつも、要らない覚悟ばかりしてるね?
肝心なほうは…」
「結花さんだね?」
依子の言葉を遮るように、翔太さんのお父さんが私たちに歩み寄って来た。
「この度は息子の誕生日に来てくれてありがとう。」
「いえ…
ご招待いただき、感謝しております。」
「では、こちらに…」
手招きをされて
依子と2人目が合った。
きょとんとする依子を置いて
私は招かれるまま
翔太さんのお父さんの後を着いていく。
依子のあの顔…。
依子も何が何だか知らないんだ…。


