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「まさか、うちの支社からエリートがでるとはね」


「エリートなんて呼んだらあいつ、調子にのりますよ?」

「でも、6つ支社がある中のトップに躍り出たんだろ?すげぇよ。」


「社長から直々に表彰されるなんて凄いよね」




表彰も終わり、ようやくホテルのディナーにありつくと、すぐにお酒を飲みながら、今日の主役の話題で花が咲く。



「結花ちゃんは入社したばかりだから知らないだろうけど、表彰された支社の社員には、本社からちゃんとご褒美があるのよ?」

「褒美…ですか?」

「ええ、近場の温泉だけど1泊2日の宿泊券が1家族分ずつプレゼントされるの。」


「えっ⁉それ、凄くないですか⁉」

「そういう所は太っ腹…。と、言いたいけれど、組合費から半分はでてるみたいね」

「成る程…でも家族分って言ったら相当ですよね?」

「以前は社員旅行だったんだけど、今の社員になってから変わったの。」

「へぇ…」


なんとなく…。

気前の良い翔太さんならやりかねないな。と苦笑いが溢れる。

ちらっと翔太さんの方に視線を向けると

彼は自分よりも年上の方々の席で、楽しげに会話を盛り上げている。


翔太さんが誰とでもそうやって親睦を深められるのは
立場だけの問題じゃないだろう…。


人付き合いが苦手な私にとって翔太さんのそういった面はとても尊敬する。