【side愛】

夜中2時を回った頃だろうか私の大嫌いな

父親が帰ってきた。

私の幼い時に母を亡くしていた。

交通事故で亡くなったそうだ。

その頃から父は荒れた…お酒も浴びるほど

のんで体を壊すんじゃないのってくらい。

…ガチャ…

微かにドアの開く音がした…。

「愛。起きてるか?」

「……!?!」

ビクリと肩が震え始めた…

「起きろよ…(((」

「きゃぁ…うぅ…っ」

首を締められ息苦しくなる。

「やめ…お父…さ…やめ…ゴホッゴホッ」

お父さんの目は昔とは違う…今にでも

誰かを殺してしまいそうな目をしている。

「愛…お前なんかいなければ良かったな」

そう言ってお父さんは私の部屋から出て行った。

その言葉何度聞いただろう心の穴が大きく

大きくなっていく。

今にでも破裂しそうなくらい…。

「うぅ…」

こんな所に居たら本当に殺されてしまう

かもしれない。

その恐怖から私は家を飛び出し宛もなく

走った父親に見つからまいと。

「涙で前が見えない…よぉ。」

((((ドンッ…

「いってーな…どこ見て…」

「ごごごご…ごめんなさい!

柄悪っこの人。
 
ここは取り敢えず頭下げとけば……。

「なぁ…」

「は、はい?」
 
彼は何も言わず私の頬から首…髪を優しく

掬い上げて私の体を見た…。

「きゃ…。」

私は急いで隠した。

「お前…なんかあったのか。」

「何にもないです…。」

「なら…ならなんで泣いてる」

そっと彼は親指で涙を拭った。

「あっ…。」

「何?可愛い顔台無しだよ」

彼はクスッと私の顔を見て笑った。