薄桃色の花びらが散る、川沿いの道を通って学校へ向かう。
そんな、春らしい日々が続きもう一週間になるが、何度見てもこの桜並木は美しい。
ふと立ち止まり、その一つ、一際大きな桜の木を見上げていると、
「泉ー!置いてかないでよー!!」
「麗奈、朝から元気だね。」
息を切らしながら私の横に追いついたのは、たった一人の友人、麗奈 ・ベイカーだ。
名前からもわかるように、麗奈の片親は外国人だ。
スラリと長い手足、白い肌、そして何より目を引くのが、イギリス人の父から受け継いだ薄茶の瞳と髪。
容姿端麗、おまけに性格は明るく、周りの人を惹きつける。
「今日も、いい天気だねー!」
彼女の輝くばかりの笑みは、朝の光りに照らされ、さながら天使のようだ。
「麗奈は、今日もかわいいね。」
そうつぶやくと、
「何言ってんのー。泉だって今日も綺麗だよ!」
と、麗奈が私の肩をたたいた。
ちなみに、私は腰まで届く黒髪の持ち主だ。大人しいというよりは、むしろ暗い性格といい、麗奈とは正反対。