しょうもない会話をしながら、一時間は歩いた。

 
 それなのに、4人の目の前に現われたのは、ぽっかり口を開けた底なしの(ように見える)穴であった。

 縦横3メートルぐらいだろうか。

「さんざん歩いてこれ〜?超最悪なんですけど〜」

 早速文句を言ったリアは、言うだけ言うとその場に座りこんだ。

 その隣にしゃがんだロミオが、その辺に落ちてた小石をポイッと投げる。

 そして耳に手を当てた。

「バカね〜。何も聞こえるわけないじゃん!」
「やっぱり?いてっとかって聞こえたらおもしろいと思って」
「てゆうか聞こえたら怖いんだけど」

 ジャスティンが壁に寄っかかり、向こう岸を眺めた。

「ジャンプして行けなくもねぇけどな〜」

 ヴァレリーがぶるぶると首を振る。

「やめてやめて!わたし、絶対ムリ!!命かけるけど絶対ムリ!!」
「いや別に命かけなくても……」
「ね?リア!ムリよね?」
 
 リアがかったるそうにヴァレリーを見上げる。

「あったり前じゃ〜ん」
「ロミオ、おめぇ行けっか?」

 ロミオはしゃがんだままジャスティンを振り返った。

「行ける」

 ニヤッと笑う。

「え〜!やめた方よくない?だって危ないわよ!」
「走り幅跳びと一緒じゃ〜ん」

 腕をぶるんぶるん回し、屈伸運動を始める。

「そりゃ走り幅跳びと同じだけどね、でも下は底なしなのよ〜!?」
「やりがいがあるではないか!」
「………何てポジティブなの……」

 リアがケラケラ笑いながら言った。

「もし落ちたら毎年お花供えにここに来るわ」
「おう!サンキュー!お前いい奴だな!」
「いや決していい奴では……まぁさ」

 ジャスティンは心配そうな顔のヴァレリーを見た。