「うぉぉ!何か来るぞ!」

 ロミオが指差した前方、岩がこちらに転がってくる!

「きゃぁー!」
「うそうそ!マジ?」
「う〜ん、マジっぽいぞ、あれ」
「やっべぇな…」

 ゴロゴロゴロゴロ…ドーン……! 

 たまにバウンドしながらみるみるうちに迫ってくる!

「よぉし!オレがいっちょ止めてやるか〜!」

 気合い満点!ロミオは腕まくりをした。

「バカじゃないあんた!止められるワケないじゃん!バカ!!」
「あ〜お前今バカって二回言ったな!」
「バカにバカって言って何が悪いのよ!」
「ケンカしてる場合じゃねぇだろが!」

 そんなジャスティンの腕をヴァレリーはバシバシ叩いた。

「ほ、ほら!さっき!あった!引っ込んでたとこ!ちょっと!」

 と、早口でまくしたてた。

「あったか?んなとこ」
「ていうか、ヴァレリーそれターザン語だぞ」
「と、とにかくこっち!」

 ヴァレリーの後を三人は追いかけた。

「せっかく歩いたのに何で戻るのよ〜」
「じゃないと潰されるぞ」

 少し戻った、向かって右の壁を指差す。

「ほら!」
「あ〜……」

 まったく目立たないが、確かに壁にくぼみがある。

「いっちば〜ん!」

 真っ先にリアが飛び込む。

「あ〜!お前ずるいぞぉぉ!!」
「ずるくないわよ!あたしが岩に潰されて死んだら、世の中の半分以上の男が後追い自殺を……」

 ヴァレリーがむぎゅぅっと入ってきた。

「つべこべ言わないの!早くみんな入って!」

 ゴロゴロゴロゴロ…!

「げげっ!ロミオ!おめぇもうちっと中入れよ!」 
「あぁそっか。岩にこすれてそれ以上眉毛薄くなったら大変だもんな」
「んなこと言ってる場合じゃねぇ!」