地面に素早く氷の魔法の紋章を描く。
それがぼわっと青白く輝いた。
目を閉じ、一気に精神を集中させる。
魔物にロッドを突き付けた。
「アイス!!」
背後でリアがつぶやくのが聞こえた。
「…クリ〜ム〜」
「…えっ」
魔法使用の際の注意。
魔法が放たれるまで、精神は集中させねばならない。
リアの言葉で一気に精神集中が途切れてしまった。
その結果、ロッドから勢いよく飛び出したのは……。
アイスクリーム。
ある意味、間違ってはないが、その場にいた全員、固まってしまった。
もちろん魔物も。
アイスクリームは、魔物にぶつかると土の地面に転がり消えていった…。
「いてっ!」
「うへっ」
あっけにとられた魔物が触手を緩めたので、男二人が落下してくる。
そして、戦意喪失したのか何なのか、魔物はいそいそとその場から去っていった。
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
しばしの沈黙の後、ヴァレリー以外の全員が笑いだした。
「ぎゃっはっはっは!!」
「超ウケるんですけどー!」
「あまりの魔法の威力で魔物逃げてったぜ〜!」
ヴァレリーの顔が、カーッと赤くなる。
わ、わたしとしたことが…!
魔導士の先生の言葉が蘇る。
「ヴァレリー、おみゃぁもうちっと精神集中の訓練をした方がいいのぉ」
リアがケラケラ笑いながら言った。
「マジメっ子ヴァレリーのかわいい(←ここ強調)ところ見れてあたしうれしい〜!」
