腕ごと触手にからまれてるので、そう簡単にはどうすることもできない。
ジャスティンは、腰に下げてる剣の柄に手を伸ばした。
よし、届く。
しかし、届くがそこから先、動くことができない。
「ジャスティン、何モゾモゾしてんだ?はっ、まさかトイレか!?」
「ちげぇーよ!!おめぇもぼんやりしてねぇで何とかしたらいいだろうが」
「そうなんだけどさ、オレの武器は拳だからさぁ〜。どうすっかなぁって思って…」
魔物は、ジャスティンとロミオのどっちから食べようか迷ってる感じだったが、とうとう赤く長い舌をロミオの方に伸ばしてきた!
「うぎゃぁぁ!ベロがぁぁ〜!オレの方に〜!!」
「…おめぇの方がうまそうに見えたんだな」
「やめろ!魔物!怖い顔してるがジャスティンの方がうまいぞ!」
「お、おめぇよけいなこと言うな!」
「うげぇ。何かボツボツしてるベロだぞ」
生暖かい空気と共に、赤い舌がロミオに近づいてきた。
すると下からきゃぁきゃぁ騒ぐ声が聞こえてきた。
「あんたたち、何やってんの〜!?」
のんきなことを聞いてくる。
「ベロ、入れられてるとこだ〜!」
「いや〜ん!気色悪〜!」
「いや〜んじゃねぇよ!助けろ!バカ!」
女二人は顔を見合せた。
「それが人に頼む態度〜!?」
「んなっ…!?」
他人事だと思って何悠長なことを…!
すると、隣のロミオも真面目にうなずいた。
「そうだぞジャスティン。人にモノを頼む時の態度、習わなかったのか?」
「顔なめられてる奴がよくんなこと言ってるな!」
ヴァレリーはロッドを構えた。
「魔法でちょっと衝撃与えれば、男二人を離すわよね」
「そうね。早くやっちゃって。何かこいつ気持ち悪い」
顔をしかめながらリアは言った。
「てゆーかさ、ロミオ、顔なめられてない?」
「きゃっ!ほんと!急がなきゃ!」
ロッドを両手で持ち、大きく深呼吸する。
こんな空間じゃ、火の魔法は危険よね。
なら、氷の魔法でちくっとやっちゃえばいっか。
