「何か棒みてぇなもん、ねぇかな」
「ツンツンするんだなっ」
「いやツンツンっつうか…」
ヴァレリーが長細い木の枝を差し出した。
「これでいい?」
「お、サンキュー!」
ジャスティンは、ヴァレリーから受け取った木の枝を洞窟の中に突っ込んだ。
「地面がちゃんとあるか確かめなきゃね」
「おう」
木の枝で、下の方をツンツンしてみる。
「…地面は…あるみてぇだな…」
やわらかい土の感触がする。
「とりあえず…中入っても大丈夫じゃねぇの……」
その時だ。
急にジャスティンは何かに引っ張られて前につんのめった。
「うへぇぇっ!」
慌ててふんばる。
「うっぎゃぁぁ!ジャスティ〜ン!!」
「きゃー!やだやだ!」
全員、ジャスティンにしがみつく。
その間も、ジャスティンの掴んでる枝はグイグイと洞窟の中へと引っ張られている。
「な、な、何なんだっつうんだよ〜!!」
「ジャスティン!ら、雷虫灯で照らしてみたら!?」
「だな!」
「ほれ、雷ちゃん」
ロミオの渡してくれた雷虫灯で中を照らす。
照らした瞬間、全員、「ぎゃぁぁ〜!!」と叫んだ。
牙がたくさん生えた、大きな口が見えたのだ。
「いや〜ん!キモ〜い!」
「魔物じゃないの〜!もう!」
「ジャスティン、魔物をツンツンしちゃうから」
三人、シラ〜ッとした目でジャスティンを見る。
「何だよ!俺のせいかよ!」
「てゆーかさ」
リアが言う。
「枝、離したらよくなくない?」
「……………」
全員、顔を見合わせる。
ジャスティンはパッと枝を離した。
するすると洞窟の中へ引き込まれた枝………。
「ほ〜らあたしの言う通りじゃない!一件落着!」
パンパンとリアは手を払った。
「よぉし!飯でも食うか!飯!」
「ちょっと!まだ始まってもいないわよ!」
「つーか何つう嫌な出だしなんだ……」
シュルシュルシュル…………。
鮮やかな黄緑色のつるが洞窟の中から出てきた。
それは素早くジャスティンの腕にからみつくと、すごい勢いで彼を中へ引きずりこんだ!
