「紹介が遅れました。私はサーナの副町長をしている、ゴディバーと言います」
4人の顔を一人一人見ながら彼はそう言った。
「チョコレートの名前に…」
「ハハ。そうですね、よく似てると言われます」
よけいなこと言わないの!
ヴァレリーがロミオをつっつく。
あまりに似てて言わずにはいられなかったんだっ!
つっつき返す。
そのヴァレリーが、ペコッと頭を下げて簡単に4人を紹介した。
「こちらこそ、すみません。オレンジスター校から来ました、えっと、その怖い顔してるのがジャスティン、隣の背中かいてるのがロミオで、こっちのかわいい顔してるのがリア、で、わたしがヴァレリーと申します」
「遠い所からわざわざありがとうございます。さぁ、こちらへどうぞ」
案内されたのは、町長が突然出てきた、玄関から向かって左側の部屋だった。
テーブルを囲むように置かれたソファに、4人が座る。
応接間と思われるが、家具といえるのは背の低いチェストが一つきりだ。
そのチェストの中から、ゴディバーは人数分のカップを取り出した。
「ずいぶん物がないと思いますよね?地震で倒れ、ほとんど壊れてしまったんですよ」
高級そうな紅茶をそそぐ。
「地震がおさまるまで、調度品の類は全てしまっているんです」
ヴァレリーはうなずいた。
「その方が安全ですもんね」
「えぇ。私なんて、飾り棚から落ちてきた先代の町長の肖像画で頭打ちましたからね」
そう言って後頭部をさする。
「先代の町長の呪い…!」
食べかけていたクッキーを口から出してロミオがつぶやく。
「だから地震のせいだっつってんだろ」
「てゆーか汚いから口に入れたの出すんじゃないわよ!」
「しゃべりながら食べるよりは下品じゃないだろ」
「どっちもどっちよ!」
リアもテーブルの上のクッキーに手を伸ばす。
