中へ入ろうとした時、ふっ…と思いついた、という感じでジャスティンが言った。
「…そういやさ、地震なくねぇ?」
そういえば…と4人、顔を見合わせる。
「…そうよね。少しも揺れた感じしないわよね…」
その時、玄関から向かって左側の扉がバンッ!と開いた。
何だか顔色の悪い、白髪頭の老人だ。
「それを言ってはなりませんぞ!そういう事を言うと必ず揺れるんじゃ!あぁほれ!今に揺れるぞ!あぁ来る!ほれ揺れ始めた!」
「町長!落ち着いてくださいな!ご自分が揺れてるだけですよ!」
フラフラ揺れている町長を、割烹着のおばさんが必死に支える。
「だ、大丈夫ですよ町長!」
扉の奥から、スーツ姿の中年男性も出てきた。
口髭を生やし、シルバーグレーの髪をぴったりなでつけているナイスミドル。
若い頃はさぞかしカッコ良かっただろう。
早速リアはそう分析した。
ん〜、若かったらなぁぁ。
取り乱す町長を唖然として見た時、何やら辺りが緩やかに揺れだした。
「あぁぁぁ〜……ぐぇっ……」
気持ち悪そうに口を押さえた町長の背中を、ナイスミドルが何度もさする。
「さぁ、あなたたちも中へ入って!」
玄関口にいた4人を、割烹着のおばさんが中へ引っ張る。
「うぉぉ〜っ。揺れてんのオレだけか?」
「いやみんな揺れてるって」
「やだやだ!ちょっと怖いんだけど!」
「地震なんて最近体験してないわよね…」
その場にいる全員、身を寄せ合う。
始め、それは大きな横揺れだった。
天井のシャンデリアが、ぐらんぐらんと揺れ、それが続くこと少々。
具合が悪い時なら確実に吐いてそうだ。
「今に大きな縦揺れがきますよ!大丈夫!すぐに終わります」
ナイスミドルが叫ぶ。
その直後、地面の底からゴォォォッ…という低い音が響いてきたと思ったら、立つこと困難なものすごい縦揺れがやってきた!
