メインストリートを抜けると、そこには住宅地が広がっていた。
家からは、暖かな光と夕食のいい匂いが外にもれだしている。
町長宅は、そんな住宅地の一番奥にあった。
立派な門構えといい、広い庭といい、何となく町長が住んでそうな感じではある。
だが割りと屋敷は小さかった。
ガードマンらしきスーツ(にサングラス)の男に声をかける。
「あの、わたしたちオレンジスター校からやってきた者なんですが…」
「はい。お待ちしておりました。どうぞ中へ」
笑顔でスムーズに門を開け、4人を中へ通す。
「ひゃぁ〜。すっげぇ無駄に広い庭だなぁぁ」
ロミオの失礼な台詞が、静かな庭に響き渡った。
「ちょっとロミオ!失礼でしょ!」
「だってそう思うだろ」
「ま、まぁね…」
「金持ちの家ってだいたい庭広いよな。おめぇんちだってそうだろ?」
と、ヴァレリーを見る。
「…そうねぇ……広いかも」
ヴァレリーは、マジックアイテムの生みの親であり、マジックアイテムの総売り上げナンバーワンをほこる、魔法の森取締役社長の令嬢なのである。
「あんた金持ちならもっとあたしにおごんなさいよね」
「わたしは金持ちじゃないわよ。金持ちなのはパパなんだから」
「やっだぁ!嫌味〜!」
「そんなんじゃないわよ!」
無駄に広い庭を歩き、ようやく屋敷の玄関にたどり着いた。
割烹着姿のおばちゃんが扉を開いて待っていてくれた。
「まぁまぁ寒い中をよくいらっしゃってくれました。さぁ、中へお入り下さい」
