キョロキョロしていると、どこからか「こっちだよ〜」というヴァレリーの声が聞こえてきた。
顔を上げると、果物屋のそばでこちらに手を振っているのが見える。
「よし、行くぞ!ロミオ」
「あ〜、待てジャスティン!あそこに帽子好きの心を揺さ振る虹色ニット帽がぁぁっ…」
「めんどくせぇなぁ。仕事終わってからにしろよ!」
ようやく女二人の所にたどり着くと、二人のそばに頭をかきながら照れている男子が一人いた。
「町長さんち、こっちだって」
ちょっと憮然としながらヴァレリーが言う。
どうやら、この男子が道を教えてくれたらしい。
しきりに頭をかきながら、リアの方をちらちら見ている。
ここにもリアのファン発見。
「いやぁ、リアちゃんがサーナを地震から救ってくれるなんて光栄だなぁ!」
「そう言ってくれるとうれしい!」
この必殺スマイルで、何人の男子を虜にしてきたのだろう。
その男子は、
「君たちがうらやましいなぁ!こんなかわいいリアちゃんと一緒の班だなんてさ〜」
と、そんなことをジャスティンたちに言ってきた。
「いや、全然」
声を揃えてそっこう否定すると、リアはこっちをギロッと睨んだ。
しかし、道を教えてくれた男子を振り返った時には、一転して花のような笑顔を向ける。
「ありがとねっ。すんごい助かったぁ〜」
リア好みのイケメンだからか、男子の二の腕にぎゅっとしがみついている。
やわらかい胸の感触に、夜目でもわかるぐらい彼の顔は赤くなった。
「このエロ男。何想像してるんだ!」
ロミオのちゃかしに更に顔が赤くなる。
「おい、さっさと行くぜ!」
「そうよそうよ!早く行きましょ!」
アホらしい、とばかりに歩きだすジャスティンとヴァレリー。
いつまでも男子から離れようとしないリアのパーカーのフードを、今度はロミオが引っ張っていった。
もちろん、後ほどリアに蹴りを入れられたのだが。
