門番は顔を興奮で赤くすると、

「い、いやぁ〜!まさかリアさんがこんな田舎町に来てくれるなんて!あぁうれしい!光栄です!」

と、リアの手をぎゅっと握り締めた。

 ファンを大事にするリアは、にこやかに笑いながら彼の手を握り返す。

「そんなぁ、こちらこそ〜!あ、サインしてあげますかぁ?」
「は、はい!お願いします!」

 タウン誌の表紙にサラサラとサインするリアの横で、残りの3人があくびしたり暇そうにつっ立っている。

 リアと一緒にいると、こういうことがよくあるからめんどくさい。

「寒いしお腹すくし、何かひもじいわね」

 自分の体をさすって暖をとるヴァレリーに、ロミオが頬をこけさせて寄りかかってきた。

「…腹減った………」
「やだっ!大丈夫?ロミオ」
「エネルギー切れだな。なぁ!おいこら門番!」

 ジャスティンはそう言うと、門番に向けて中指をたてた。

 その中指には、鈍くシルバーに光る指輪がはめられている。

 真ん中には、オレンジ色の小さな星の石がデザインされた、オレンジスター校のスクールリングだ。

 身分証明書代わりになるこのスクールリング。
 実は、プロテクションという、防御力を上げる魔法がこめられたマジックアイテムだ。

「何だお前年上にむかって!」

 意味を誤って理解した門番が怒鳴る。

「ちげぇよ!スクールリングだ!よく見やがれ!」
「…まぁ、ジャスティンじゃそういう意味にとられやすいからね」

 ロミオも、ふざけて舌を出し中指を立てている。