いとも簡単に地割れの底につくと、彼は上を見た。

 ぼんやりとした明るさの中、三人の姿が見える。

「来いよ!別に何もねぇぜ!」
「よぉぉし!次はオレが行く〜!」

 無駄にでかい声でロミオは言うと、ロープをつたって何なく下りてきた。

 次は…どうやらヴァレリーらしい。

 ロープで下りたり上ったり。
 一応授業で何度もやったことだ。
 あまり運動神経のよくないヴァレリーやリアでも、時間はかかるが何てことはない。

「よっと」

 底へ到着したヴァレリーは、一人でぽつんと残るリアを見上げた。

「リア!何もないから早く下りてきなよ〜」
「あ〜あ、ったくめんどくさいわよねぇ。ちょっと!あたしスカートなんだからあっち向いててよ!」
「わぁーったよ!」
「見たら殺す!」

 興味がないわけではないが、本気で殺されそうなので男二人は反対側をくるっと向いた。

 ヒールのある靴で器用に下りてくるリア。

「やだ。ばっちぃ」

 手についた泥を、そばにいたロミオの黒いパーカーでごしごしとふきとる。

「何すんだリア!お前今オレのケツ触っただろ!」
「触ってないし!ただ手ふいただけよ!」
「お前人の服でふくなよ…」
「だって近くにちょうどよくいるし〜」
「ねぇ、ジャスティン。今のシャレ?」
「あ゙?」
「服でふく」
「っかぁぁ〜!すげぇジャスティン!おもしろくねぇ〜!」
「オヤジギャグ〜!」
「てゆうかつまんないし〜!」
「ぐ、偶然だ偶然!」