何だか薄暗い。

 地下へと続く階段の明かりは、不安定に付いたり消えたりしている。

「…で、何でおめぇは俺にそんなにくっついてんだよ」

 うざったそうにロミオを睨む。

「ジャスちゃん、その目こわ〜い」
「うっせぇな!離れろよ!」

 しがみつくロミオの腕を振りほどいたが、懲りもなくまたしがみついてきた。

「あ゙ー!うぜぇな!」
「これが女の子だとよかったのになっ」
「そりゃそうだ!つうかいいから離れろよ!」
「だって怖いじゃん?お化け出そうで」
「はぁぁ??お化け?」

 怪訝そうな顔をしたが、すぐにピンときた。

 そーいや、地下に続く階段に、血まみれの女が出るとかいう噂がまことしやかに流れてたっけ。

「…ロミオ、お化け嫌いだったよな」
「だってお化けにオレの拳効かないじゃん?」
「…ま、まぁ確かに」

 そんなわけで、男二人仲良くくっつきながら地下へと下りていった。

 階段を降りきると、これまた薄暗い廊下が真っすぐ続いている。

「何か前より薄気味悪さが増してんな」 
「ジャスちゃん、背中たくましい〜」
「人の話聞けよ…」

 いくつか並んでいるドアの上には、『書類庫1』『書類庫2』『武器庫』『アイテム部屋』『薬品部屋』などと、色あせて読みにくい字で書かれてあった。

 その中ほどにある、窓のついた部屋から、薄く光りがもれている。

 『受け付け』と書かれてあり、しかし窓のカーテンはしまっている。

「おい!フェルト!」

 乱暴に窓を叩くが返答はない。

 ドアのノブもガチャガチャさせるが、鍵がかかっているようだ。

「まさか中で死んでたりして」
「や、やめろよ!気味悪ぃこと言うな!」
「今ゾクッときた?」
「きてねぇよ!」
「きたでしょ?きたでしょ?」
「うるせぇな!」