そこには、ヘタクソなのに、墨で書かれてあるから妙に味があるように見える字で、

『13日 午後4時 鼻袋小路白い犬の前で待て
バスタード校』

と、書かれてあった。


「ちょうどいいぜ」

 ジャスティンは果たし状をぐしゃっと潰した。

 この心の中のモヤモヤをぶっ放すには、あいつらと殴り合うのが一番だ!

 ジャスティンとロミオ、そして今は仕事でいない数名の仲間たちは、定期的に、港町セントマリナでも悪名高いバスタード高校の生徒たちと、殴り合い、蹴り合いの喧嘩をなぜかしていた。

「あ〜、ジャスちゃん、せっかくの果たし状をしわしわに…」
「もともとおめぇがしわしわにしてたんだろうが」
「やば〜ん」
「そうそ、やば〜ん」
 リアは汚そうにその果たし状をつまんだ。

「あいつ、まだあたしのこと好きなんだっけ?」 
「あぁジョンな。らしいぜ。噂によると」
「いや〜ん!最悪〜!これだからモテる女は大変よねぇ〜!変な不良たちにも好かれちゃうんだもん!罪作りだわぁ〜」

 わざとらしく、ブルッと身震いする。

「へー。大変ですね」

 男二人とヴァレリーが、棒読みな感じでそう言った。

「で、勝敗は?」 

 ちらっとジャスティンはロミオを見た。

「10・6で俺らの勝ちだよな?」
「もっちろ〜ん。あいつら弱いし〜」
「ハリソンとか、明日仕事から帰ってくるっつうし、ちょうどいいじゃねぇか。暴れてやろーぜ!」
「どうしたんだよジャスティン。いつになくはりきってんねぇ」
「!!……おめぇ、そうゆうとこするどいよな…」
「ごめんごめ〜ん」
「…てゆうか誉めてるのよ、ロミオ。んで、ジャスティン、何でいつになくはりきってるの?」 
「……いや、そこは突っ込まないでくれ…ヴァレリー……」

 ジャスティンはがっくり肩を落とした。

「え〜、気になるんだけど!暴れてすっきりさせたいことでもあるの?」

 リアがぷっと笑った。

「キャハ。おこちゃま」
「な、何よ!!」
「ね〜、ジャスティン」

 ものすごく意味ありげな顔で、見てくるリア。 

「……ハ…ハハ……」

 嫌な汗と共に、ジャスティンは力なく笑った。