ちなみに、ビクトリアとリアは仲がすごくいいらしい。
そしてルーンはビクトリアのことを「全身尻女」と呼び、たいそう嫌っているが、ビクトリアはルーンを自分と同じ仲間なんだと思っているということだ。
と、いうわけで、先制攻撃を免れ、なおかつビクトリアの言う通り単純だったジャスティンは、意気揚々と攻撃を繰り出した。
とはいえ、ビクトリアの言葉を鵜呑みにして自分は何もしない、というのはまさかできない。
ジャスティンが攻撃をしている隙に、ヴァレリーはささっと地面に紋章を描いた。
氷の紋章がピカッと青白く光りだす。
大丈夫。
今度は誰にも邪魔されない。
アイスクリーム…なんて…はっ!ダメダメ!
頭をぶるっと振り、一気に精神を集中させる。
自分の体に流れる、魔法使いの血が騒ぐのをヴァレリーは感じた。
精神を集中させる時間は、ヴァレリーの場合わずか3秒。
早いといえば早いが、一人前の魔法使いとしてはまだまだだ。
カッと目を開きロッドをモンスターたちに向ける。
「アイス!」
その声を聞き、ジャスティンは慌てて身を伏せた。
鳥肌が一気にたつような冷気が、彼の頭上を通り過ぎる。
青白い冷気の固まりが、2匹のホワイトウルフの全身を包んだ。
