「きゃぁー!きた!」
魔法を唱えるのをやめ、ヴァレリーは慌てて身をかがめた。
そこを、「うるぁぁぁ!」とジャスティンが磨き抜かれた剣で斬り付ける。
運がよかったのか狙い通りだったのか、ちょうどホワイトウルフの喉元を切り付けたようで、青黒い血を吹き出しながら一匹が地面に落下した。
あっという間に黒いモヤになって消えていく。
「すごい!ジャスティン!偶然!?」
「…い、いやぁ〜実力に決まってんじゃん!狙い通りだ!」
嘘っぽいとは思ったが、士気を上げさせるためヴァレリーはとりあえず誉めた。
「すごいじゃない!さっすが!」
男っていうのは単純だからね。
お色気ムンムンの保健体育の教師、ビクトリアの言葉だ。
「男はね、どんなに理屈並べるようなインテリな奴でも、所詮男。根は単純なのよ」
ルーンと同じ迫力のあるナイスバディだが、違った色っぽさが彼女にはあった。
ピチピチのタイトミニのスカートの下は、ガーターベルトのストッキングというのがいつもの姿。
「だからね、モンスターなんかと戦うっていう、野蛮なお仕事やる時は、班の男子をひたすら誉めて持ち上げてやりなさい!例え嘘っぽくたって、喜ぶから。そうすれば、女子の手なんか借りずに男子たちだけでモンスターやっつけちゃうから」
リアが手を上げる。
「先生〜。あたし、自分の班の男子なんか、嘘でも誉めたくありませ〜ん」
ビクトリアは「ふふっ」と笑ってリアに近づいた。
「そうね。リアみたいなかわいい子が、そう簡単に男子を誉めるのはもったいないわ」
そう言うと、リアの隣に座ってたヴァレリーの席の机にさっと座った。
「!?」
ぎょっとしたヴァレリーの頭をポンと叩く。
「リアにはやらせないで、ヴァレリーがやりなさいね」
「……は、はぁ…」
ひきつった顔で返事するヴァレリー。
