縦揺れと共に、穴の奥底から「うおぉぉぉぉ〜………」という低い声が聞こえてきた。
ドシーンドシーン!!という音のすぐ後に、グラグラグラグラ…と揺れがくる。
「なぁなぁリア。何か下から声聞こえなかった?」
「知るか!さっさとあたしを上げなさいよ!腕超痛い!!」
さっきまでのしおらしさはどこへやら。
いつものリアに戻った彼女を見て、ロミオはニヤッと笑った。
「な、何よ!笑ってないでさっさとしなさいよ!」
「いや、いつものリアに戻ったなぁって思って」
「はぁ!?あんた何言って……」
「うりやぁぁ!」
掛け声と共にロミオは一気にリアを上へ引っ張った。
しかし、
「いたっ!」
リアの左足が何かにひっかかった。
と同時に今度は下へ引っ張られた!
「きゃぁぁっ!」
「うげっ!」
思わず離してしまいそうになったリアの手を、ロミオは慌ててぎゅっとつかんだ。
はずみで自分まで落ちそうになったが、すんでで何とか踏張る。
「やだぁ!もうっ!」
下を見たリアはげんなりした。
左足首に、蔦のようなものがからまっている。
リアが宙ぶらりん状態の底無し(?)穴の壁面には、よくよく見ると、結構な数の穴がぽこぽこあいてる。
その穴という穴から、うにょうにょと蔦が出ていて、そのうちの一本がどぅやらリアの足首にからみついているらしい。
しかもグイグイ引っ張ってくる!
「きゃぁぁっ!痛いってば〜!ばか!」
「大丈夫だリア!引っ張られた分、背が伸びる!」
「何言ってんのよ!背なんて伸びたくない!」
上からも下からも引っ張られ、しかも宙に浮いてるこの状態はかなりキツい。
だんだん腕が痺れ、感覚がなくなりそうになる。
「ロミオ…腕…もう限界〜……」
リアの弱気発言にロミオがでかい声を出す。
