「早く来いって!地震きたら、岩落ちるかもしんねぇぞ」
ヴァレリーがため息をついた。
「……仕方ない。わたしから行くわ……」
「そーね。ヴァレリーの体重で大丈夫だったらあたしなんて楽勝だし」
「何よ!いかにもわたしが重いみたいな言い方ね!」
「ん〜、でも、あたしよりはあるじゃん?」
「…………」
い、言い返せない!
「いいわよ!行くわよ!行けばいいんでしょ〜!?」
こうなりゃやけくそよ!
ヴァレリーは一歩踏み出した。
心許ない足場。
足元がすくわれる感じがする。
ダメ!考えちゃ!
こういうのはさっさと行った方がいいのよ!
爪先だけをつけるような歩き方で、ヴァレリーは一気に渡りきった。
「はぁぁ〜……」
どっと出るため息。
「よしよし」
ロミオがヴァレリーの頭をポンポン叩く。
「リア!おめぇの番だぞ!」
ジャスティンが向こう側にいるリアに言うと、彼女は、
「わかってるわよ!うるさいわね!」
と、かわいくないことを言ってきた。
「じゃぁ早く来いよ〜」
ニヤニヤ笑って言い返す。
「だからうるさい!今行くわよ!」
ヴァレリーがジャスティンをつっつく。
「ちょっと、あんまり言わない方いいわよ。後が恐いから」
「げっ、やべ。忘れてた……」
スー…ハー……。
目を閉じ、深呼吸一つ。
神様。
どうか無事渡れますように。
こんなかわいい子が死んじゃったら、世の中の老若男女、みんなが一生悲しみの床に伏せちゃいます。
目を開け、顔を上げた。
しかし直後、リアは神様を呪うことになる。
