無口な彼

「…にしてもお前本当面白いやつだな」

さっきからいろいろと喋る滝川悠斗。

……こいつクール王子?みたいなあだ名つけられてなかったっけ?

クールって普通あんま喋んない人のこと言うんじゃなかったっけ?

この人本当にクールなの?

そうとは思えないくらいおしゃべりなんですけど。

「ねぇ、あなたがクール王子?」

気になったから聞いてみた。

「………」

無視ですか?ねぇ、聞こえてたよね?

無視なの?

「…俺は、べつにクール王子なんかじゃない」

「ふーん、そう」

あれか。

人見知りで、みんなと喋れなくて。

それからついたあだ名がクール王子なのか。

なるほど、納得。


「朱里、家具の模様替えするか?」

「……朱里⁉︎⁉︎」

え、あたしこの人とそんな仲良くなった記憶ないんですけど……。

「え、桜咲朱里だよな?」

「あ、うん」

「桜咲なんて長い名字より朱里の方が呼びやすいからいいだろ?俺も悠斗でいいから」

「う、うん」

確かに桜咲より朱里の方が短くて呼びやすいけど。

……ま、翔もあたしのこと朱里って呼ぶからいっか。

「で、模様替えする?」

「んー、じゃソファこっちにしよ!悠斗そっちもって」

「わかった」

そんなこんなで気づいたら1時間経過していた。

「「おわったーー」」

あたしたちの資料室は完成した。