ジャージに着替えた5人は剣二の運転する社用車に乗り込み揃って中学にやって来た。
「懐かし〜」
車を降りるなり体育館を見て悠一が声を上げた。
「そう言えばチーフ、ここの中学だったんでしたっけ?」
と、航。
「ああ。全然変わってない。いや、懐かしいな〜」
しかも悠一はバレー部だったので、まさにこの体育館で哲平と同じように青春を過ごしていたのであった。そんな悠一を先頭に、一同は体育館のドアを開けた。
「あ、来た」
いち早く哲平が気づき、打ち合っていたボールを止めた。
「先生、来ましたっ」
哲平の声で、館内にいたバレー部二十数名はボールを止めた。
「お待ちしてました」
ネットの横に立っていた顧問の先生らしき中年の男性に声を掛けられて、真っ先に小走りで剣二が歩み寄った。
「京極哲平の父です。いつもお世話になってます」
「いえ、こちらこそ」
「今日は、無理なお願いを聞いていただいて、ありがとうございます」
「いや、丁度どこかと練習試合しようと思ってたところでしたから」
「あ、熊田先生?」
後から寄って来た悠一が顧問の男性を見て大きな声を出した。
「おお。田中、元気そうだな」
「ご無沙汰してますっ」
二人のやり取りにキョトンとする剣二たちに悠一が説明した。
「あ、僕の時も顧問だったんですよ。熊田先生」
「へ〜、そうなんっすね。じゃ、20年ぐらい前からここなんっすか?」
と、光俊。
「いや、回りまわって、今年戻ってきたんだよ」
「そうなんですね…」
と、小刻みに頷く悠一の目がうっすらと潤んでくる。



