「私は予定ないけど、他の人は予定あるかもよ?」
「あんまり予定ありそうな奴いないけどね。皆、仕事終わったら真っ直ぐアパートに帰ってるみたいだし。彼女とデートしに行ってる風じゃないなぁ」
剣二の言葉に大きく頷く悦子。そう、悦子は密かにこのバレー大会の練習を通じて舞が誰かと個人的に親しくなればいいと願っている。いや、そうでなければ、バレー大会で偶然出会うどこかの町内会の男性とバレーを通じて恋に落ちないかと強く願っている。つまり、舞が『結婚しない主義』を覆してくれれば相手は誰だっていいのだ。
それが、娘を思う母心である。
「皆には、朝一で言うわよ。優勝狙ってるんだから、1回ぐらい練習試合しておい方がいいでしょって」
「なんか、恩着せがましい言い方」
「だってそうでしょ」
「分かりました。よその中学生まで巻き込んじゃって、今更断れないんでしょ。私は行くけど、他の人はちゃんと説得してよね」
「はいはい」
と、いうわけで、出社してきた面々を1階で待ち伏せていた悦子が1人1人説得し、終業後、皆で哲平の通う中学に行くこととなった。



