好きって言っちゃえ


それからしばらくした日の朝。京極家の食卓で悦子と剣二と哲平が朝ご飯を囲んでいる。

「おばあちゃん、ちゃんと皆に言っておいてよ」

哲平が、悦子に強い口調で念押しをしている。

「分かってます。哲平の顔をつぶすようなことしないわよ」

そこに、眠そうな顔をした舞が入って来た。

「おはよ〜」

「じゃ、頼んだよっ。5時半からだからねっ。行ってきま〜す」

「行ってらっしゃ〜い」

舞と入れ替わりに哲平は学校へ出掛けて行った。

「何頼まれてたの?」

トーストを焼きながら、舞が悦子に尋ねる。

「バレーの練習の事」

「は?練習?」

舞の眠気が一気に冷めた。

「試合はまだ先なんだけど、1回ぐらい練習しておいた方がいいと思って、哲平に部活の後、中学の体育館使わせてもらえないか聞いてきてもらったのよ」

「ふ〜ん。で?5時半っていつの?」

「今日」

「今日!?義兄さん知ってた?」

「いや、この件に関しては、俺、ノータッチだから」

コーヒーを啜りながら平然と答える剣二。

「え〜。じゃ、練習に参加しないの?」

「ああ。まぁ、試合当日の応援にはいくつもりだけど」

「そうなんだ…。でも、今日練習なんて、他の皆も知らないんじゃない?」

「うん、昨日哲平が聞いてきたからね。来週の日曜日哲平達試合があるらしいのよ。それで、バレーの経験者が多いなら、先生が、練習試合したらどうかってことになったらしくて」

「は?練習試合?」

「へ〜。面白そうだね。じゃ、見に行ってみるかな」

完全に他人事の剣二。