好きって言っちゃえ


「平野」

「はい?」

入って来た剣二に呼ばれ、光俊は手を止めて剣二を見た。

「お前、今、それ急ぐ仕事じゃなかったら、さっきのアルバム早めに納品して来いよ」

「あれ?納品って、俺の仕事ですか?」

と、光俊は何気に『納品はこの人の仕事じゃないの?』的に舞の方を見た。その視線にふと気が付いた舞は手を止めて首をググッと光俊の方に向けて、低い声で呟いた。

「ブライダルハウスの仕事の責任者は平野くんでしょ」

「まぁ、そうですけど〜」

「撮影も打ち合わせもないのに行くのは、面倒だろうけど、最初だけは『ついで』じゃなくて、『わざわざ』お前が持って行くところに意味がある。だから、行って来い」

と、剣二に言われ、

「そんなもんなんスかね〜。わかりました。行ってきます」

光俊は、先ほどの出来上がって来たばかりのウェディングアルバムを持って部屋を出て行った。

「最初から素直に行けばいいのよ」

舞は態勢を戻しながらブツブツと呟いた。その様子を見て隣にいた秀人が舞に話しかけた。

「あの〜」

「ん?何?」

「平野さんと仲悪いんですか?」

「は?」

思いがけない質問に思わず秀人の顔をキョトンと見る舞。と、パソコンに向き合っていた航も、

「そうそう。俺も思ってました。なんか、仲悪そうだなって」

と、手を止めて話に参戦してきた。